中高年からの起業では何を考えるべきなのか④

さて、このテーマでこれまで、「スキル」と「人脈」について考えてきました。今回はもうひとつのテーマでとして挙げた「働きながら準備ができること」についてちょっと考えたいと思います。

中高年の起業が若者の起業と大きく異なるのは、今、それなりに社会や組織で実績を上げていて活躍していて、今、所属している組織をある程度、動かせるということです。ですから、起業するにあたっては、それをうまく活かせないかということを考えるべきでしょう。

例えば、以前に取り上げたスキルですが、もし起業しようと思ったら、それに必要なスキルを、今いる企業の研修や制度を使って身に着けるができるかもしれません。スキルを棚卸して、もし、起業するのに必要なスキルがあったとしたら、今の環境を活かして身に着けてみてもいいのです。

また、人脈についても、何かで起業をやることを想定したら、ビジネスに必要な顧客や協力先を今の立場を用いて開拓できないかと考えてもいいのかもしれません。もちろん、今の業務をおろそかにすることはいけません。でも、今の業務を行いながら、起業後も見据えて人脈を作る、これはトライしてみて悪くないと思います。起業してから人脈を作るのは以前にも書きましたが、大変です。どこの馬の骨になったのちではなく、ある程度、会社の信用をバックに人脈を作るほうがいいに決まっています。

更に言えば、今、所属している会社といい関係を築いて、起業後に顧客になってもらう基盤を作っておくことも考えておいてもいいかもしれません。今、自分が組織で担当している業務をアウトソースしたらどれくらい組織にメリットがあるかを考える。それを実現するためのビジネスプロセスを整備する。そしてそれを会社に提案し、会社のメリットを訴求したうえで、実際にその業務を外に切り出して、それを請け負う形で起業するというパターンです。

いずれにしても、何も準備無しで起業したら、しばらくは売上が上がらないということは少なくないでしょうし、売り上げが十分に上がらないうちは準備した資本金を切り崩していくだけです。今の仕事をしながら、起業した時にすぐに売り上げが上がるための準備をしておく。これは、若いうちよりも中高年の起業でこそ可能ではないかと思うのです。