「95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要だ」と試算した金融庁金融審議会の報告書に関して、麻生太郎金融担当相は正式な報告書としては受け取らない意向を表明しました。報告書はおそらく、6月3日発表の「金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書」ではないかと思います。ここでの高齢者夫婦世帯の事例が、月額収入が209198円、支出が263718円で、月額で5万円程度がマイナスとなり、これが30年で1800万円であるから、2000万円での金融資産が必要というのは極めて妥当です。これが政府の方針とは違うというのはどういうことなんでしょうか。
エクステンション講座で話をさせていただいたときに使った資料では、高齢者夫婦二人の世帯でのデータとして、支出は家計調査から249000円、収入は厚生年金の平均として211000円を使いました。それでだいたい毎月4万円は足りず、それを退職金で補いきれますか、という話をしたわけです。
但し、もっと問題なのは家計調査の一月249000円で楽しい生活ができるでしょうかということです。持ち家でなくて賃貸であればとても足りそうな気はしませんし、持ち家であったとしても、個人的に試算するとなかなか一月249000円で生活できるかどうかは疑問です。皆さんも一度、鉛筆なめなめ計算してみると面白いと思います。
麻生さんは「著しい不安とか誤解を与えており、政府のこれまでの政策スタンスとも異なっている」と説明したとのことですが、別に年金が破たんすると報告されているわけでもありません。年金は今のところきっちりと運用されており、取り立ては厳しく、支払いも渋くということで破たんする気配はありません。
問題は、そもそも年金だけでは生活費は足りず、その分、余計なお金が必要だといっているだけなのです。これは、今、問題が起こったわけでもなく、今まで誰も大きな声で言ってこなかっただけなのです。
人生70年なら退職金を2500万円もらったとして、引退後が10年ならば月額20万円、それが40年になったらば月額5万円と15万円マイナスになるわけですから、昔ほど豊かな引退生活は原理原則としてエンジョイできないわけです。
100年ライフ.comでは、働けるうちはとにかく楽しく働いてみることを目指しています。皆さんと一緒に具体化できるような活動を進めていきたいと思っています。