中高年からの起業で何を考えるべきなのか③

さて、前回のメルマガで起業において考えるべき「スキル」を取り上げました。今回は「人脈」を取り上げてみたいと思います。

起業を考えるときは、普通、自らのスキルを考え、足りないスキルや資格の獲得にはかなり真剣に取り組みます。やりたいことのためにスキルを身に着けることには誰もが必要性を感じますし、そのためには時間やお金もかけるでしょう。しかしながら、事業をスタートした際にスキルと同様、あるいはそれ以上に重要なのは人脈です。ビジネスを始めるには子役開拓は必須ですし、いろいろと協力してくれる人、いろんな方を紹介してくれる人も重要です。

ここで言っておきたいことは、起業する際には、それに必要な人脈を、独立する前に、十分に構築することを考えるべきだということです。企業人であるときには、実は人脈を作るのはそれほど難しくありません。所属する会社や組織のネームバリューは実はとても有効で、自分のことをそれほど説明しなくても、相手もこちらをわかってくれます。自分自身は相手の方や企業と付き合うのは初めてでも、組織としての関係性が構築されている場合は少なくありません。企業名、組織名を書いた名刺はとても便利なツールなのです。

ところが、独立して起業しようとすると、よほどの有名人でない限り、どこの馬の骨かわからない存在になります。これは独立するとよくわかります。やはり所属していた企業、組織が積み重ねてきたネットワークや実績は、大小はあるでしょうがやはり貴重です。その企業、組織はそれなりの実績でビジネスを展開してきたわけですから。でも、独立して、どこの馬の骨なのかわからない存在になると、新しい人に会うためのアポを取るだけでも大変ですし、会社やビジネスも一から説明して理解してもらわなければなりません。

ですから、組織を辞めて独立して起業しようと思ったら、組織にいる間に十分に準備をしておくほうがいいと思うのです。しかも、それはスキルやビジネスプランだけでなく、必要なネットワークの構築や人脈の形成、顧客の開拓なども早めにやっておくに越したことはありません。リンダグラットンの「ライフシフト」でも書かれていますが、人生100年時代に重要なのは多様な経験とネットワークです。組織にいて給料をもらっている間にできるだけ人脈形成の準備をしておくことをお勧めしたいと思います。まあ、私自身は独立したときは結構、行き当たりばったりではありましたが。