自分を知るためのキーとなる『ちょっとした違和感』

リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの『ライフ・シフト』の中で、100年時代を迎えるにあたり直面するであろう様々な変化に対応しながら、人生をより豊かなものにしていくために、自分についての理解を深めることや変化に対して柔軟であること等の重要性が語られていました。自分の性格や行動傾向、何が好きでどんな事が嫌いなのか、幸せだと感じるのはどんな時なのかetc…100年時代の人生を、一人一人にとってより良いもの、豊かなものになるようにデザインしていくためには、自分にとっての幸せの尺度を知っておく事が今後はこれまで以上に大切になってくるというわけです。

自分にとって何が幸せなのか、どんな人生を送りたいと思っているのか。急に尋ねられてもすぐに答えが見つけられるような簡単な問いではないと思います。自分を知る、と言ってもどうしたらいいかよくわからない、そんな風に感じる方も多いのではないかと思いますが、自分を知るための一歩として、自分の中で感じる『ちょっとした違和感』が実はとても役に立つものだったりします。

一生懸命あれこれ考えて、頭ではこうするべきだ、こうしなくてはいけない!と思っても、何だか胸のあたりがモヤモヤしたり、しっくりこないような違和感を抱くことがあったり、頭の声に従って動いてみても満足感があまり得られなかったり、やらないといけないのにどうしてもやる気になれないという経験はありませんか?

何だかよくわからないけど、モヤモヤする、しっくりこない、という違和感は実はとても大切なものです。パズルのピースがピッタリはまらないような感覚、それは当てはまる形、求めている姿が自分の中にあるから感じるもので、それをキャッチできること、じっくり感じてみることが本当に自分の求めているものを知る、自分らしさを知る事へと繋がります。(フォーカシングという身体や自分の内側で感じる、言葉になる前の感覚を手がかりに、それを丁寧に感じてその感覚にピッタリくる言葉を探したりしながら自己理解を深めていくというカウンセリングの手法もあったりします。)日常生活の中で感じるちょっとした違和感、自分の内側に起こる様々な感覚(不快なものであっても)にいい悪いの判断をつけずに、まず目を向けてみてください。どんな違和感なのか、何に対して感じているのか、それが自分のこれまでの在り方を教えてくれたり、これからを考えるための大事な材料になるでしょう。